LGBTQ+とは/企業に求められる対応

朝日新聞が「LGBTなど性的少数者の権利を守る取り組みについて国内主要100社にアンケートしたところ、「差別禁止の明文化」が8割を超えた」とのことです。

「LGBT差別禁止」84社が明文化 100社調査、課題も浮かぶ(朝日新聞 2021年12月26日)
https://www.asahi.com/articles/ASPDT54BTPD7ULFA00N.html

記事によりますと、以下のような回答があったということです。

実施済みや実施予定の施策

  • 差別禁止の明文化 84社
  • 社内研修の実施 81社
  • 相談窓口の設置 75社
  • だれでも使えるトイレや更衣室 60社
  • 社内の理解社・支援者を増やす 52社
  • 同性パートナーにも配偶者と同じ福利厚生を一部または全て適用 51社
  • 採用時の履歴書から性別記載欄をなくす 39社
  • 自認する性にあった通称名の利用 30社
  • 当事者がいないので対応は必要ない 1社
  • その他 11社

取り組みにあたっての課題

  • 当事者のニーズや意見を把握するのが難しい 70社
  • 法整備など国による後押しが足りない 34社
  • 社内の理解不足 33社
  • 施策の効果を把握するのが難しい 24社
  • 特に課題はない 5社

LGBTQ+とは

LGBTQは、性的少数者(セクシャルマイノリティ)を表す言葉の一つとして使われるものです。

  • L=レズビアン(心の性が女性で恋愛対象も女性)
  • G=ゲイ(心の性が男性で恋愛対象も男性)
  • B=バイセクシャル(恋愛対象が女性にも男性にも向いている)
  • T=トランスジェンダー(「身体の性」と「心の性」が一致せず自身の性に違和感を持つ人)
  • Q=クィア/クエスチョニング(自らの性のあり方について、特定の枠に属さない人、わからない人等)
  • +=その他多様な性(自身の性を限定しない・できない人/他者に恋愛感情・性的感情を抱かない人等多様)

近年では、SOGI(ソジ)という言葉も使われています。
SOGI(ソジ)とは、性的指向「Sexual Orientation」と、性自認「Gender Identity」の頭文字を取った言葉で、すべての人が持つ性別や性的指向に関わる概念を指し、LGBTと呼ばれる性的少数者かどうかに関係なく定義されています。

企業に求められる対応

企業で起こり得るハラスメント(SOGIハラ)

「みんな」や「普通」という概念に縛られ、そこから外れる人を差別的に取り扱うケースが多くあります。

  • 「ホモ」「おかま」「おねえ」「男女」「性転換」等の言葉で揶揄する
  • 「あの人、そっち?」「気持ち悪い」等、事実か否かに関わらず噂話をする
  • 避ける、無視する等態度による嫌がらせをする
  • 人事評価や昇進において不利益な取り扱いをする
  • 本人の同意なく、性的指向や性自認について暴露する、等

企業に求められる対応

朝日新聞のアンケート結果と他社が取り組んでいる施策を踏まえ、当社でも以下の取り組みをご提案、支援しています。
当事者が、社内に「自分の居場所がある」と実感し、気持ちを受け止めてくれる人や安心感を与えてくれる人がいる、という環境をつくることが大切です。

トップの宣言・基本方針の明文化

差別を禁止し、多様な性について理解を深め尊重する方針を明文化しましょう。

社内研修の実施

専門家や当事者から話を聞き、知識を持ち理解を深める機会を設けましょう。

社内レターやパンフレット等の配布

一般的なこととして、LGBTQ+に関する基礎知識を周知するパンフレット等を作成し、継続的に配布しましょう。

相談窓口の設置

組織内に、性的指向・性自認に関する知識を持つ理解者を増やし、またその中から相談窓口の担当者を選任しましょう。
相談窓口及び担当者にはプライバシーへの十分な配慮が求められます。

設備の整備

性別を限定せずだれでも使えるトイレや更衣室などを整備しましょう。

採用時の履歴書から性別記載欄をなくす

欧米では既に性別記載欄のない履歴書が一般的になっています。

自認する性にあった通称名の利用

「ちゃん付け」「君付け」「女の子」「男の子」「おじさん」「おばさん」などではなく、「さん付け」や「役職名」で呼ぶことを統一ルールとしましょう。

当事者がいない場合

「当事者がいないから必要ない」という認識は改めましょう。
カミングアウトしていないだけで、実際には予想している以上に当事者の割合は高く、「少数派」とも「特別」とも表現すべきではないほど実は一般的に存在しているものです。
「左利きの人と同じくらいの割合で存在している」と考え、「我社にもいて当たり前」という認識のもと、セクハラやパワハラと同じように、SOGIハラについても全ての企業で対応しましょう。

(参考・出典)【法務省】LGBT
https://www.moj.go.jp/JINKEN/LGBT/index.html

(参考・出典)【東京レインボープライド2022】
https://tokyorainbowpride.com/

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株式会社 ケンズプロ
株式会社 ケンズプロ
ケンズプロは、パワハラ・セクハラ・ペイハラ・カスハラ等ハラスメント対策や女性活躍推進、採用ブランディングなどを支援する人事コンサルティング会社です。