ワークスリープバランスの重要性
睡眠は、海外ではその重要性に関する研究が進み重要視されていますが、日本は、睡眠時間を犠牲にして成果を上げることが推奨されていたモーレツ主義からいまだ抜け出せず、他国と比較して労働時間は長く、睡眠時間は短く、ぼんやりし始めた脳にカフェインを注ぎながら、日々納期に追われる働き方を続けています。
睡眠不足は、生産性を低下させるばかりでなく、重大なミスや事故を引き起こしたり、他者に攻撃的になったりするリスクを高めます。
そのリスクは、人の命も、企業の存続をも揺るがし得る時限爆弾です。
では、1時間長く、眠ってみてはいかがでしょうか。
質量ともに十分な睡眠を確保し、ワークスリープバランスを向上させることで、社員のパフォーマンスが上がり、結果、企業業績も上がります。
個人も、心身の健康の維持増進というメリットを享受できます。ワーク・スリープ・バランスは、ウェルビーイング経営の一環として重要です。
睡眠は、「怠慢」ではなく、人生を豊かにするための「権利」であり、仕事人としての「責任」です。
ワークスリープバランスのポイント
厚生労働省『健康づくりのための睡眠指針2014~睡眠12箇条~
- 良い睡眠で、からだもこころも健康に。
- 適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
- 良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
- 睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
- 年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
- 良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
- 若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
- 勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
- 熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
- 眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
- いつもと違う睡眠には、要注意。
- 眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf
▼睡眠不足が日本にもたらす経済的損失
▼睡眠不足で仕事をする危険性
記事「睡眠不足は酔っぱらい状態!?不十分な睡眠で仕事をしてはいけない理由」
▼睡眠不足リーダーがパワハラを引き起こす
記事「リーダーの睡眠不足がパワハラの元凶!?上司は睡眠を重視せよ!!」
▼睡眠と健康の関係性
▼リーダーや働く個々人の心がけ
企業が取り組むべきこと
良質で十分な睡眠を確保することで、社員のパフォーマンスやエンゲージメント、定着率が向上し、ミスや事故、離職者を減らす効果が期待でき、結果、企業業績も拡大しやすくなります。
それらメリットを享受するために、残業削減や休暇取得促進などにより睡眠時間を確保し、ハラスメント対策や業務調整等によりストレス過多にならない働き方や生活習慣の見直しを推奨し睡眠の質を向上させる後押しをすることが求められます。
- トップが、睡眠の重要性とその促進における雇用主の役割を認識する
- 管理職を対象に、睡眠・疲労・ストレスに関する研修を実施する
- 睡眠の重要性と質向上等に関する情報を従業員に共有する
- より明るいワークスペースを設計および構築する
- 11(できれば12)時間以上の勤務間インターバル制度を導入する
- 1日の労働時間の上限を設ける
- フレックスタイム制等個人のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を導入する
- 睡眠指針を策定する
- 10分程度の昼寝(パワーナップ)を働き方に組み込む
- シエスタ(昼寝に限定せず長めに休憩を取る制度)を働き方に組み込む
勤務間インターバル制度
勤務間インターバル制度は、1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を確保する仕組です。
生活時間や睡眠時間を確保するうえで重要な制度で、2019年4月から既に努力義務となっています。
「睡眠指針」を定めましょう
ハーバード・メディカルスクールのチャールズA.ツァイスラー教授は、睡眠指針を会社として規定すべきだと提唱しています。
昼宴(パワーナップ)のすすめ
パワーナップ(power-nap)とは、12時から15時くらいにとる15分~30分ほどの仮眠のこと(コーネル大学の社会心理学者ジェームス・マースの研究による造語)で、昼寝をすることでリフレッシュでき、様々なメリットが得られるといいます。
厚生労働省も、『健康づくりのための睡眠指針 2014』の中で、「午後の早い時刻に30分以内の短い昼寝をすることが、眠気による作業能率の改善に効果的」としています。
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