睡眠時間と生産性の相関関係〜睡眠不足で15兆円も失われている!

睡眠時間と労働生産性には相関関係があることが、いくつもの研究で明らかになっています。

睡眠時間が長い国ほど生産性が高い

下図は、平均睡眠時間が長い国ほど、国民一人あたりのGDPが高いことを示しています。

寝る国は育つー睡眠とGDP

世界経済フォーラム(https://www.weforum.org/agenda/2019/04/which-countries-get-the-most-sleep-and-how-much-do-we-really-need/)

日本は、他国と比べ、労働時間が長く、睡眠時間が短い国です。

目撃・見る長時間労働者が多い日本のグラフ

国際労働比較 独立行政法人 労働政策研究・研修機構『 2022データブック』 https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/databook/2022/documents/Databook2022.pdf

そのためか、日本は長年にわたり、主要国の中で最も生産性が低い国であり続けています。

日本の労働生産性国際比較 主要7カ国中最下位

睡眠不足による経済的損失は莫大!

アメリカのシンクタンク、ランド研究所が2016年に公表した調査資料によると、1日6時間未満睡眠の労働者は、7〜9時間睡眠の人よりも、欠勤またはプレゼンティーイズムによる生産性の損失が平均で約2.4ポイント、6〜7時間睡眠の労働者は約1.5ポイント高いことが報告されています。
睡眠不足は職場の生産性を低下させ、雇用主にとってコスト高になるということです。

この数字から概観しますと、6時間未満睡眠の人は年間約6労働日、6〜7時間未満睡眠の人は約3.7労働日分の生産を失うことになります。
そこから、5つの異なるOECD加盟国で観測された睡眠時間の分布と労働人口の規模の違いを考慮すると、毎年かなりの労働時間が失われていることがわかります(下図)。

睡眠不足による生産性損失国際比較

Rand Corporation(https://www.rand.org/pubs/research_reports/RR1791.html)

日本では、年間平均60万4,000労働日が失われています。
これは、最大1,380億ドル、GDPの2.92%、日本円にすると約15兆円もの損失になります。

睡眠不足による生産性損失国際比較2

Rand Corporation(https://www.rand.org/pubs/research_reports/RR1791.html)

7時間睡眠を開始するだけで

そこで、睡眠時間を長くしてみましょう。
もしも、6時間未満睡眠だった人が7時間の睡眠を開始すると、経済への追加効果が約757億ドルにもなる!つまり、半分以上を取り戻すことができることも示されています。
睡眠時間を少し変えるだけで、経済に大きな影響を与える可能性があることがわかります。

Rand Corporation(https://www.rand.org/pubs/research_reports/RR1791.html)

寝ることは、社会人の「責任」

日本人は勤勉と言われていますが、勤勉であるがゆえに生産性を落とすという矛盾に陥っています。
眠い目をこすりながら仕事をしても、成果が上がらないばかりか、重大なミスや死亡事故を引き起こすリスクさえあるのですから、潔く仕事を中断し、寝るべきです。

睡眠不足で仕事をするリスク

休むときはしっかり休み、リフレッシュした上でしっかり休む「メリハリのある働き方」が、生産性を高めます。
寝ることは「怠慢」ではなく、人間としての「権利」であり、社会人としての「責任」です。

そして、国は、国を挙げて、睡眠戦略に取り組むべきです。
いつまでも生産性最下位、中国にも韓国にも台湾にも遅れを取る状況に、甘んじていてよいのでしょうか。

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株式会社 ケンズプロ
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