睡眠不足は酔っぱらい状態!?不十分な睡眠で仕事をしてはいけない理由

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睡眠と生産性には相関関係があり、不十分な睡眠により日本全体で年間15兆円もの経済的損失が生じています。

記事「睡眠時間と生産性の相関関係…」

睡眠不足は酩酊状態と変わらない

ドリュー・ドーソンとキャスリン・リードによる疲労、アルコール、パフォーマンスの低下に関する研究で、睡眠の機会の減少と睡眠の質の低下は、交替制労働者が関与する事故に関連していることが多いことがわかっています。
質の悪い睡眠と不十分な回復は、疲労の増加、注意力の低下、およびさまざまな認知精神運動テストでのパフォーマンスの低下につながります(ただし、疲労に関連するリスクは十分に定量化されていません)。
研究では、疲労によるパフォーマンス障害とアルコール中毒によるパフォーマンス障害を同一視し、一定レベルの疲労がアルコール中毒の禁止レベルよりも高いレベルの障害を引き起こすことが示されています。

疲労、アルコール、パフォーマンスの低下に関する研究

nature”Fatigue, alcohol and performance impairment”(by Drew Dawson & Kathryn Reid)https://www.nature.com/articles/40775

起床から14時間を過ぎ、時刻が深夜0時を過ぎるあたりから、作業能力が極端に落ち、酒気帯び状態で同じ作業をさせた場合よりも劣る危険な状態になります。

現代の企業風土は、睡眠時間を削って働くことを、かつての禁酒法時代に「こっそり酒を持っている」ことと同様、「なかなかやるじゃないか」と認めている。24時間睡眠を取らなかったり、毎晩4、5時間の睡眠を1週間続けたりすると、血中アルコール濃度が0.1%程度の人と同程度の機能障害を引き起こす状態にある。「この人は素晴らしい仕事をする。なぜなら、いつも大酒を飲んでいるから」とは絶対に言わないだろう。しかし実際には、睡眠を犠牲にして「酔っぱらい」になっている人をほめちぎっているのだ。(ハーバード・ビジネス・レビュー2006年12月号『睡眠不足は企業リスクである』チャールズ A.ツァイスラー氏話/野村和之氏訳、を当社編集)

酩酊状態で仕事をしたら…

想像してみてください。
もしも、お酒を飲んだ状態で以下のことをしたら・・・

  • 乗客を乗せたバスを運転する
  • 危険な重機を操作する
  • 高額の振り込み作業をする
  • 安全区域やビルの警備をする
  • 会社の未来を左右する意思決定を下す
  • 株主の前でプレゼンテーションをする
  • 患者に治療を施す

その想像と同じことが、睡眠不足でも起こり得るのです。

本当にある、睡眠不足に起因する事故

短時間睡眠や不眠が続くと、強い日中の眠気や作業能率や注意力の低下、抑うつ、などが出現し、結果的に人為的ミスの危険性が増大します。
例えば、アラスカでのタンカー事故やスペースシャトル・チャレンジャーの墜落、スリーマイル島での原発事故のほか、日本でも、過酷な勤務条件による長距離ドライバーの居眠り運転や睡眠時無呼吸症候群を患っている新幹線運転士の居眠りによる緊急停止事故、などが起きています。

厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト内『健やかな眠りの意義』独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 精神生理部 三島和夫先生著 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-01-001.html

nature”Human errors are behind most oil-tanker spills”
https://www.nature.com/articles/d41586-018-05852-0

『ほとんどの石油タンカー流出事故の背後には人為的ミスがある』
タンカーの事故の少なくとも80%はヒューマンエラーが原因です。このようなエラーには、過重労働による疲労、特定の操作に関する不十分な専門知識、不十分なコミュニケーション、または古い航海図の使用が含まれます。

関越自動車道高速バス居眠り運転事故

2012年(平成24年)4月29日に群馬県藤岡市岡之郷の関越自動車道上り線藤岡ジャンクション付近で都市間ツアーバスが防音壁に衝突した交通事故。
乗客7人が死亡、乗客乗員39人が重軽傷を負いました。
前橋地方裁判所は2014年、居眠り運転をして事故を起こした運転手に対し、懲役9年6か月の判決を言い渡しました。
事故後に国土交通省関東運輸局が行った調査で、運行会社には、

  • 無認可での車庫の新設、廃止
  • 営業区域外での旅客の運送
  • 一般貸切旅客自動車運送事業の名義貸し
  • 休憩所・仮眠所の変更無届
  • 不適切な乗務記録
  • 運行指示書の無作成・記載不備
  • 日雇労働者を運転者にした
  • 乗務員台帳の記載不備
  • 運転者の過労防止措置の不十分

など、合わせて36件の法令違反などが見つかり、
更に、国土交通省が計画当初の乗務距離を算定した結果、乗務距離が運転手1人当たりの上限である670kmを超過していたことが判明しました。

国土交通省「(有)陸援隊への立入検査において発見された法令違反が疑われる事項について」
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000084.html

この事故を受けて、国土交通省においては、運転時間の基準や交替運転者の配置指針、点呼のあり方、運行管理体制などの過労運転防止対策について検討を行うため、「高速ツアーバス等の過労運転防止のための検討会」を設置し、多客期の安全確保のための過労運転防止に係る緊急対策が取りまとめられました。

「高速ツアーバス等の過労運転防止のための検討会」における過労運転防止に係る緊急対策について
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000095.html

明日は我が身

睡眠不足は、企業の根幹にダメージを与え得る深刻なリスクです。
他社ごとではなく、明日は我が身です。
企業は、社員の睡眠を、もっと重視すべきです。

では、企業はこのリスクをどのような対策で低減することができるでしょうか。

企業に求められるワーク・スリープ・バランス推進対策