行為の内容、行為や被害の程度、反復継続性、行為者の意図・態度等により、とるべき対応は異なります。
時間経過とともに状況が変化し、深刻化したり解決困難になったりするため、早めに弁護士に相談した上で、以下のように対応します。
事情の確認
- ハラスメントに至った経緯を被害者及び加害者の双方に確認する必要がある。事情を確認する際は加害者を責めることなく中立の立場で行うよう留意する
言葉による説明と警告
- ハラスメントに至った経緯のうち、施設において改善の余地がある点については改善の方法、時期等を具体的に説明し理解を得るよう努める
- ハラスメント行為によりどのような事態が発生したかを説明する
- ハラスメントが今後発生しないような解決策について話し合う
- 解決策が守れない場合や再度ハラスメント行為が発生した場合の対処について法的措置も含め、具体的に警告する
書面による警告
- ハラスメント行為の程度、頻度により言葉による警告では不十分な場合、言葉による警告が有効でない場合は書面により警告する
- 書面は内容証明で郵送するなどし、施設より加害者に書面で警告したことを証明できるようにする
- 書面には、問題となるハラスメント行為、施設の対応(言葉による説明と警告を行った場合はその内容と加害者の反応を含む) と加害者の反応、今後発生した場合の対応(強制退院、訴訟等) を明記する
加害者に接する看護業務の中断
- 看護者の安全が確保できない場合は、加害者に接する看護業務の中断を検討する
告訴
- ハラスメント行為が刑法の「傷害罪」、「暴行罪」、「脅迫罪」、「強要罪」に該当する場合は、被害者本人が警察に被害届を提出する。また、被害者が告訴することも可能である
- 「名誉毀損」は親告罪であるため、被害者が告訴しないと刑事訴訟にはならない
- 刑法の罪に該当しない場合でも、「ストーカー行為等の規制等に関する法律」、「酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律」が適用される場合もある
- 団体や多衆の威力を示したり、又は兇器を示し、数人共同して暴行、傷害、脅迫、強要を行った場合は「暴力行為等の処罰に関する法律」により罰則が厳しくなる
- 刑事訴訟のみならず、民事訴訟にて損害賠償(治療費、慰謝料等) を請求することも可能である
- いずれの手続きにおいても、医療機関側に証拠提出が求められるため、事件発生時及びその後の証拠収集を滞りなく行う
ハラスメントが症状や病状に起因する場合
- 症状や病状の治療を行う
- ハラスメント行為に至った状況等から引き金となりうるものを明らかにする。その人に特定の引き金となりうるもの(特定の言葉、人、時間等) がある場合には、その要因を除去するように努める
- 被害者になるリスクが高い者は1人で対応しないようにする
社団法人日本看護協会『保健医療福祉施設における暴力対策指針』https://www.nurse.or.jp/nursing/home/publication/pdf/guideline/bouryokusisin.pdf
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