ペイシェントハラスメントの発生要因と対策

ペイシェントハラスメントは、行為者(患者等)に要因がある場合と、ハラスメント自体は容認されないとしても、医療側にも落ち度と言える要因がある場合、あるいはそれ自体は適切な医療行為・環境であってもハラスメントを起こす引き金となる場合とがあります。

加害者に関するもの

  • 暴力的行為の前歴(暴力を用いて問題解決したり、利益を得る体験)
  • 被虐待歴
  • 心理的背景(敵意、抑うつ)
  • ストレス(疾病や障害による不安、周囲の人々への不満、孤立、長時間勤務)
  • 職業認識(看護者は逆らわない、何でも言うことをきく等の認識)
  • 父権主義(パターナリズム)
  • アルコール依存症
  • 認知症、脳血管障害等で衝動性の高い場合
  • 統合失調症や双極性障害等で激しい興奮を伴う場合○人格障害などにより反社会的行為がみられる場合
  • 薬物の中毒
  • 症状(肝性脳症、妄想、幻聴、思考障害、せん妄等)
  • 言語による表現の障害
  • 病識の欠如

社団法人日本看護協会『保健医療福祉施設における暴力対策指針』https://www.nurse.or.jp/nursing/home/publication/pdf/guideline/bouryokusisin.pdf

以上の中でも、「ストレス」は、どのような病状や性格の患者にも共通して見られるもので、医療側の取り組みにより一定程度軽減できるものでもあります。

被害者に関するもの

ハラスメントは、被害者がどのような人物であれ許されるものではありませんが、被害者になりやすい人の特徴を踏まえておくことで、リスクを低減できます。

  • 女性
  • 若年者
  • 研修中又は試用期間中
  • 攻撃性に怯える
  • 暴力に無抵抗である
  • 他人のパーソナルスペースに不用意に侵入する
  • 相手のプライドを傷つける、攻撃性を示す態度
  • コミュニケーション技術の未熟さ(説明や確認の不足等)
  • 制服や名札の着用(状況によって暴力を防止する効果があったり、ストーカー行為等の誘因となったりする。)
  • 接遇教育を受けていない、会得していない
  • 暴力対策の教育を受けていない、会得していない

社団法人日本看護協会『保健医療福祉施設における暴力対策指針』https://www.nurse.or.jp/nursing/home/publication/pdf/guideline/bouryokusisin.pdf

以上の要因を踏まえると、例えば以下のような対策が有効と考えられます。

  • 研修中の職員に一人で対応させない
  • 知識と技術を磨き、自信と責任感ある「プロフェッショナル」な面持ちで対応できるようにする
  • ハラスメントに対し毅然と対応するよう研修を実施する
  • 患者のパーソナルスペースに不用意に侵入せず、物心共に距離感を保つ
  • 患者のプライドを傷つけるような侮辱、無礼な態度を取らず、常に尊重と敬意を持って接する
  • 丁寧な説明、確認を行い、患者等と十分なコミュニケーションを維持する
  • 女性もパンツスタイルの制服を着用したり、場面により名札を着脱したりする
  • 接遇研修を実施し、すべての職員が会得する
  • ペイシェントハラスメントについて学ぶ機会を定期的に設ける
  • 護身術などの研修を定期的に実施する、等

環境(業務内容・遂行方法)に関するもの

  • 単独での業務
  • 身体接触を伴う業務
  • 苦しみを抱えた人々と関わる業務
  • 患者の意に添わないが法的に必要な業務(強制入院など)
  • 多くの人に接する業務
  • 夜間に勤務・通勤する業務
  • 家庭訪問等で外部との連絡が容易ではない状況になる業務

社団法人日本看護協会『保健医療福祉施設における暴力対策指針』https://www.nurse.or.jp/nursing/home/publication/pdf/guideline/bouryokusisin.pdf

四六時中予防に意識を注ぐのは、現実的では有りません。コア業務に支障が生じたり、精神的負担が大きく健康を害したりします。
以上のような「環境」を踏まえることで、「どの場面で注意力をONにすべきか」を考えやすくなり、限定的に意識を高めることができます。

一人でケアするとき、
身体に触れるとき、
重症患者と接するとき、
夜間に勤務、通勤するとき、
家庭訪問するとき、
などは、自己防衛の意識を高めることが望ましいと言えます。

ペイシェントハラスメントの引き金となるもの

  • 不快な環境(気温、湿度、照明、騒音、臭気、衛生状態、混雑など)
  • アルコール摂取
  • 薬物の使用
  • 自由にならない集団生活
  • 有効な活動の不足(退屈したり、体力が余った状態)
  • 意に添わない処置(吸引等の苦痛を伴うもの、オムツ交換等の羞恥を伴うものなど)
  • ケアプランや処方の変更
  • 担当者の変更
  • 担当者によってかわる処置や説明
  • 悪い知らせ(検査結果、予後の説明、依頼の拒否など)
  • 職員の態度・接遇(感情的な対応、長い待ち時間で声かけがないなど)
  • 隔離された空間で二人きりになること

社団法人日本看護協会『保健医療福祉施設における暴力対策指針』https://www.nurse.or.jp/nursing/home/publication/pdf/guideline/bouryokusisin.pdf

以上から、以下の対策が考えられます。

  • 物理的な環境を改善する
  • アルコールや薬物の摂取を禁止とし、違反があった場合は退去を要請することを予め説明しておく
  • 可能な範囲内で、運動や散歩、外の空気を吸うことなどができるようにする
  • 吸引やオムツ交換等苦痛や羞恥を伴う処置の際は、特に配慮する
  • ケアプランや処方、担当者を変更する際は、丁寧に説明し、不安を聴き取り、できる限り不安を和らげる
  • 処置や説明の標準化、統一化を図る
  • 悪い知らせをする際の表情、態度、口調、環境、タイミング等に配慮する
  • 接遇研修等により、職員の態度・接遇を改善する
  • 隔離された空間に二人きりにならないか、二人になる際にはドアを開ける、または防犯対策を強化する

医療側に落ち度は全くないが引き金となる場合も多いですが、些細ながらも医療側にも要因があり患者等を怒らせてしまうケースも多いと考えます。
医療側にも要因がある場合は、対策より予防できる可能性があります。
すべての迷惑行為を一律に「患者等が悪い」と決め付けるのではなく、患者等の行為が過剰であったとしても、医療側にも原因・落ち度はなかったか、必ず検証するべきです。

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